古い柱や梁が、長年の歴史を物語る築四十年の木造住宅。大切に住み継がれてきた家でしたが、細かく仕切られた間取りは薄暗く、現代のライフスタイルには合わない部分も多くなっていました。そこで、この家の持つ古き良き趣は残しつつ、開放的で快適な暮らしを実現するための大規模な和モダンリノベーション計画がスタートしました。このリノベーションの核となったのは、家の中心にあった壁を取り払い、キッチン、ダイニング、リビングを一体化させた広々としたLDKの創出です。しかし、ただ壁をなくすだけではありません。構造上どうしても残さなければならなかった太い大黒柱と、天井の立派な梁をあえて「見せる」デザインとし、この家の歴史を象徴するシンボルとして空間の中心に据えました。古材は丁寧に磨き上げられ、新しい空間の中で圧倒的な存在感を放っています。床材には、この古材と調和する、少し赤みがかった色合いが美しいアカシアの無垢フローリングを採用。不規則な木目が、空間に豊かな表情を与えています。キッチンは、リビングダイニング全体を見渡せるアイランド型に変更。その腰壁には、墨色のタイルを施し、空間を引き締めるアクセントとしました。最新の設備を備えながらも、その佇まいはまるで老舗料亭の板場のようです。壁は全体を温かみのあるアイボリーの漆喰で統一。職人の手仕事によるコテむらが、照明の光を受けて柔らかな陰影を生み出します。そして、リビングの一角には、畳の小上がりスペースを設けました。縁なしの琉球畳がモダンな印象で、腰掛ければソファのように、寝転がればくつろぎのスペースとして、多目的に使うことができます。畳下のデッドスペースは、大容量の引き出し収納として有効活用されています。窓には、伝統的な障子の美しさと、現代の機能性を両立させたプリーツスクリーンを採用。和紙調のスクリーンを通して差し込む光は、室内に柔らかく拡散し、穏やかな時間をもたらします。
築四十年の住まいが蘇る和モダンリノベーション